香織は祖母から古い人形を受け継いだ。人形は繊細な作りで、見る者を引き込む美しさを持っていた。祖母が亡くなった直後、香織はその人形を部屋に飾り、祖母の思い出として大切にしていた。
しかし、古い人形を部屋に飾ってから、香織の周りに奇妙なことが起こり始めた。夜中には部屋の中で小さな足音が聞こえるようになり、目を覚ますと人形が元の位置から移動していることがあった。ある日、香織は目を覚ますと、人形が彼女のベッドの側に立っているのを見つけた。
恐怖に震える香織の前に、人形がゆっくりと口を開け、香織の祖母の声で「孫よ、私はひとりぼっちで寂しいの。あなたと一緒にいたい」と言った。
香織は恐怖に駆られて家を飛び出し、霊感が強いと評判の女性、絹江に相談を持ちかけた。絹江は人形を見るなり、顔色を変え、「この人形、大変な力を持っている。以前の所有者の魂が宿っている」と告げた。
絹江は人形の前で儀式を行い、祖母の魂と対話を試みる。祖母は「私は孫に会いたくて、この人形に魂を移したの。でも、孫が私を恐れることは意図していなかった」と言う。
絹江は香織に、人形を適切に扱い、祖母の魂を安らぎの場所へ送ることを助言した。香織は祖母の魂を慰め、儀式を通じて彼女をあの世へと送った。
しかし、数日後、香織の部屋の中で再び小さな足音が聞こえ、人形が消えていた。香織の目の前には、祖母の姿が。香織は驚き、祖母に向かって「あなたは、あの世へ行ったはずでは?」と叫んだ。しかし、祖母はにっこりと微笑み、「孫よ、私はずっとあなたのそばにいる。永遠に…」と囁いた。