【怖い話】ビデオメッセージ

短編の怖い話



真夜中の3時、ユウキのスマホが振動し、通知音が響いた。目をこすりながら通知を確認すると、ビデオメッセージが1件届いていた。送信者は「不明」。何か悪戯メッセージかと思いながらも、ユウキは開いてみることにした。

再生ボタンを押すと、画面にはユウキの部屋が映し出された。ビデオの中の部屋には、ユウキ自身が眠っている姿が映っていた。そして、部屋の片隅から、女性の顔がゆっくりと現れ、彼に近づき始めた。女性の顔は真っ白で、目は真っ黒に染まっていた。彼女はベッドのふちまで近づき、ユウキの耳元で何かを囁くと、再び暗闇の中へと消えていった。

ビデオはそこで終了。ユウキは恐ろしさで身体が震え、部屋を確認したが異変はなかった。しかし、耳元にはまだ女性の囁きが響いているようだった。それは「お兄ちゃん、忘れてた?」という言葉だった。

ユウキの記憶が10年前へとさかのぼった。あの日、彼は交通事故を起こし、自分は助かったが妹は亡くなった。その事故以来、彼は記憶を封印し、妹の存在を忘れて生きてきた。

彼の背後から、再び女性の声が聞こえてきた。「あなたが私を忘れたから、こんな風になったのよ。私は、あなたと一緒にここで永遠に過ごしたかった。」

その女性は彼の妹の姿だった。彼は号泣しながら妹に謝罪し、彼女を抱きしめようとしたが、妹の姿は徐々に消え、部屋にはユウキただ一人が残された。

翌朝、友人たちが心配して彼の部屋を訪れると、ユウキは床に崩れ落ち、手には妹との幸せな日々を撮影した昔のビデオカメラが握られていた。



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