夏休みのある日、田中家は祖母の遺品整理のために彼女の古い家を訪れた。家の中は時間が止まったかのように古びた家具と思い出の品々でいっぱいだった。中でも、真っ赤な着物を着た古い日本人形が目を引いた。この人形は、先代から受け継がれてきた家宝だと祖父は言っていた。
田中家の次女、由紀はこの人形に魅かれ、持ち帰ることを決意した。家に帰った由紀は、自分の部屋の棚にその人形を飾った。
しかし、ある日、由紀は人形の髪の毛がわずかに伸びていることに気づいた。最初は気のせいかと思ったが、日に日にその変化は明らかとなっていった。1週間後、髪の毛は人形の足元まで届くほどに伸びていた。
驚いた由紀は、その事実を家族に打ち明けたが、誰も彼女の言葉を信じなかった。しかし、ある晩、由紀の兄、大輔が古い日記を見つける。それは祖母の手によって書かれたものだった。
日記には、この人形が祖母の亡くなった妹、菜々の形見であり、菜々の髪の毛を使って作られたことが書かれていた。また、菜々が亡くなる前、彼女は「私はこの人形として永遠に生き続ける」と言っていたという。
由紀は、人形の髪が伸びるのは菜々の魂が宿っているからではないかと疑念を抱くようになった。そして、ある日、由紀が目を覚ますと、人形が彼女の枕元に座っていた。由紀は恐怖で声を上げたが、人形は微笑むような表情を浮かべていた。
翌日、田中家はその人形を祖母の家へと戻した。そして、家族はその夜、由紀の部屋の窓から聞こえてくる、菜々の笑い声に耳を傾けるのだった。