千鶴と翔太は、霊感を持つ者として知られていたが、その二人の能力は一般のそれとはかけ離れていた。二人が見る霊は、歪み切った怨念だけで成り立っているようなもので、人々の心や肉体をむしばんでしまうような存在だった。
ある夜、二人は依頼を受けて、地元の伝説で「呪われた家」と呼ばれている場所を訪れた。その家には、かつて一家が住んでいたが、ある日突然全員が行方不明となり、以降、訪れる者たちが次々と奇怪な事故に遭ったという。
家の中に入ると、壁には血の跡が点々と残され、部屋の隅には、かつての住人の髪の毛や爪が、何かの儀式の名残のように並べられていた。中央の部屋には、一族の全員の写真が飾られており、その目は全てくり抜かれていた。
千鶴と翔太は、この家の中で霊の活動が極めて高いことを感じ取った。特に、その写真の中心にある、若い女性の霊の怨念が強烈だった。彼女は家族を手にかけ、その後自ら命を絶ったという。
深夜、二人はこの霊を鎮めるための儀式を始めた。しかし、儀式が進むにつれ、家の中で奇怪な出来事が次々と起こり始めた。床からは無数の手が現れ、千鶴と翔太を引きずり込もうとし、壁や天井からは血の雨が降り注いだ。
最も恐ろしいのは、一族の女性の霊が物理的に現れ、千鶴と翔太に襲いかかったことだった。彼女は長い髪で千鶴の首を絞め、翔太の目をえぐろうとした。翔太は全力で彼女を押し返し、儀式を完成させるための呪文を唱え続けた。
結果、霊は封印され、家は静寂を取り戻した。しかし、翔太の右目は永遠に失われてしまった。二人は、手を取り合い、家を後にした。しかし、その後も千鶴の背後には、いつも何かがついて来るような気配を感じ続けていた。