【怖い話】呼ばれた場所

短編の怖い話



高校の夏休み。友人のアキとリョウは、町で噂の心霊スポット「月見の丘」への夜の訪問を計画した。その場所は、かつて何人もの人々が命を失ったと言われている場所で、夜になると奇妙な声が聞こえるとの噂が立ち、若者たちの間で密かなブームとなっていた。

「リアルに霊感があるっていうから、何か感じるのか見てみたいんだよね。」アキが笑いながら言った。

「本当に大丈夫なのか?」リョウは少し不安そうに問い返した。

「大丈夫だって。さあ、行こう!」アキは元気にリョウの腕を引っ張った。

夜10時、2人は「月見の丘」に到着。暗闇の中、静寂が広がっていた。月明かりの下、2人は丘の頂上を目指して歩き始めた。途中、風が吹く度に草木がささやくように音を立てる。

「何か聞こえる?」アキがリョウに耳打ちした。

「うるさいだけだろ。」とリョウは答えたが、彼の声には明らかに震えがあった。

丘の頂上に近づくと、遠くから女性の悲鳴のような声が聞こえてきた。アキとリョウはお互いに顔を見合わせ、言葉なく静かに耳を澄ませた。

突然、アキの背後から「帰って…」という低い声が聞こえた。2人は慌てて振り返ったが、誰もいない。その声の方向を見ると、古びた祠が立っていた。

アキは祠に近づいて行くと、その中から古い写真が落ちてきた。写真には笑顔の若い女性が写っていたが、その目は真っ黒で、見る者に恐怖を感じさせるものだった。

リョウは「帰ろう。ここはよくない。」と言って、アキを引き留めようとした。しかし、アキは写真をじっと見つめていた。

その時、アキの顔色が変わり、彼はリョウに向かって「帰りたくない…」と呟いた。リョウはアキを揺さぶり、彼を正気に戻そうとしたが、アキの瞳は真っ黒に変わっていた。

突然、アキがリョウの腕を強く掴み、祠の中へと引きずり込んでしまった。

翌朝、2人の姿を心配した友人たちが「月見の丘」を訪れた。丘の頂上にはアキとリョウの姿はなく、ただ古びた祠だけが静かに立っていた。祠の中からは、2枚の写真が落ちてきた。写真にはアキとリョウが写っていたが、彼らの目は真っ黒だった。



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