深夜、大学の友人・大樹と春樹とともに都会を抜け出し、人気のない湖畔で釣りを楽しんでいた悠斗。三人とも初心者で、どれもこれも小さな魚しか釣れず、笑いながら釣りを楽しんでいた。
そんな中、見知らぬ男が湖畔に現れた。灰色のコートに深くかぶった帽子、その下から漏れる目は奇妙に光っていた。「もっと大きな魚が釣れる場所を知ってるよ。良ければ案内しましょうか?」と彼は言った。
冒険心に駆られた三人は、彼に案内されることにした。だが、その決断は大きな過ちだった。
彼の案内で、さらに奥地へと進んでいく。辺りは真っ暗で、足元も見えないほど。男の行動や言動に次第に違和感を覚える悠斗たち。特に彼の口から漏れる「こっちに来れば、もっと大きなものが待っている」という言葉の意味が、怖く感じられてきた。
「もう、帰りたい…」と小声で春樹が言った時、男は突然立ち止まり、彼らの方をゆっくりと振り返った。その顔には、不気味な笑みが浮かんでいた。
「ここで帰るのか?」と男が言った。「帰るなら、ここから自分たちで帰れるか?」
悠斗たちは急に周囲を見渡すと、どこをどう進んだのかさっぱり分からない。まるで森の中で迷子になった子供のように、不安と恐怖で心が満たされた。
「何をしたいの?」と大樹が詰め寄るが、その男は再び笑みを浮かべ、指で静かにしろという仕草をした。
「君たちが釣りたかった大きな”もの”が、ここにいる。」と言い、突如、足元の土が動き出し、大きな黒い影が地中から現れた。それは人間ではなく、地下から現れる巨大な生物だった。
悠斗たちは恐怖で声も出せず、その場で凍りついた。男は再び笑い、「釣りたかった大物はこれでいいか?」と言い放ち、姿を消した。
その後、三人はどうにかしてその場から逃げ出し、夜が明けるのを待った。夜が明けると、その場所は普通の森と変わらない場所だった。
その後、三人はその場所に二度と近づくことはなかった。しかし、都会に戻ってからも、その不気味な男や地中から現れた生物のことが頭から離れることはなかった。