山の中腹に佇む古びた一軒家。都会の喧騒から離れ、四季折々の風情を楽しむために、若いカップル、リナとヒロシはこの家を購入した。
家の中は木造で、古くからの住人の温もりが感じられる。二人はこの家での新しい生活に胸を躍らせていた。
ところが、家に住み始めてから数日後、夜中に不可解な音が響き始めた。物が落ちる音、床がきしむ音、そして何よりも、淡々と続く水滴の音。
ある日、リナが家の裏庭を探索していると、井戸を見つけた。井戸の周りはモスで覆われており、とても古いものだった。ヒロシは好奇心から井戸の中を覗こうとしたが、真っ暗で底が見えなかった。
その夜、二人は再び不可解な音を聞いた。今度は、井戸の方向から聞こえてきたような気がした。
翌朝、リナが井戸に近づいてみると、井戸の蓋が開いていた。そして、井戸の中からは水滴の音が聞こえてきた。リナは不安に駆られ、ヒロシに報告した。
ヒロシは専門家を呼び、井戸の中を調べてもらうことにした。数時間後、専門家は深い震えとともに井戸から上がってきた。
彼は、井戸の中に、骨の山があることを二人に告げた。それは、かつてこの家の住人たちが、何らかの理由で井戸に捨てられたものだった。
ヒロシとリナは恐怖に駆られ、すぐにこの家を離れることにした。引越しの日、リナが家の中を最後に確認していると、リビングのテーブルの上に小さな手紙が置かれていた。
手紙には、「ありがとう、私たちを見つけてくれて」と書かれており、その横には、古びた水滴の跡が数滴残されていた。