地元の中学生、リョウとヒロシは親しい友人同士だった。しかし、ヒロシには他の人とは異なる特別な能力があった。彼は霊感が非常に強く、他の人には感じることのできない気配や声を感じ取ることができた。
ある日、2人は町で噂されている心霊スポット、放置された古い家を訪れることになった。ヒロシは最初から乗り気ではなかったが、リョウの誘いを断れず、半ば仕方なくついて行くことに。
家の中は薄暗く、古びた家具や壁には黒い染みが広がっていた。探索を始めた当初は特に異変はなかったが、ヒロシが突然、「この家、悲しい感じがする」と言い出した。
リョウは彼の言葉に驚き、「どういう意味？」と問うた。ヒロシは、「ここには昔、一家が住んでいて、何らかの理由で家族全員が命を落とした。その哀しみや絶望が今も残っている」と語った。
しばらくして、2人は古びた和室に入ると、ヒロシが突然身体を震わせ始めた。彼の目はガラスのようになり、白目を剥いてリョウを見つめた。
リョウは恐怖で言葉を失い、ヒロシを呼びかけたが、彼からは「ここで私たちと一緒にいて欲しい」という女性の声が聞こえてきた。
その後、リョウはヒロシを無理やり外に引きずり出した。外に出るとヒロシは意識を取り戻し、何があったのかを思い出せなかった。
2人はその日の出来事を誰にも話さず、その場所を二度と訪れることはなかった。しかし、ヒロシはその日から夢にその家族が出てきて、彼らの悲しい過去を見せられるようになった。それは、家族が一緒に生きる幸せな日常から突然訪れる不幸な出来事を通して、彼らの愛と絆の深さを感じさせられるものだった。
リョウはヒロシの夢の話を聞き、2人でその家族のためにお参りをして、彼らが安らかに眠れるよう祈った。それ以降、ヒロシの夢は止まり、2人はその家族のことをずっと忘れることはなかった。
