田舎の小さな村に、大きな古びた洋館が建っていた。地元の住民たちは、その洋館を「死を招く家」と呼んで恐れていた。この家に住む者は必ず死に至るという伝説があり、何世代にもわたって多くの住人が命を落としていた。
ある日、都会から村に引っ越してきたサトシという若者が、その洋館を購入。彼は伝説を知らず、また半信半疑で、そこに住むことになった。初めは何も問題なく、サトシは新しい生活を楽しんでいた。しかし、数日後から不可解な出来事が起こり始めた。
夜中、明らかに自分一人しかいない家の中で、子どもの笑い声や足音が聞こえるようになった。また、ミラーを見ると、自分以外の姿が映っていることも。最初は気のせいかと思っていたサトシも、次第に恐怖を覚えるようになった。
ある晩、サトシは居間の窓に、黒く長い髪の女性が浮かんでいるのを目撃。その女性はサトシをじっと見つめ、突然消え去った。驚きのあまり、サトシは近くの寺の住職に相談を持ちかけた。
住職は「その家には、昔、若い女性と彼女の子どもが住んでいた」という話を始めた。女性は夫に先立たれ、一人で子どもを育てていたが、村の者たちから疎外され、最終的には家に火をつけ、自らの命を絶ったという。それ以来、洋館には彼女と子どもの霊が留まり、新しい住人たちを次々と死に追いやっていた。
住職はサトシに「彼らの魂を安らぐように、祈祷を捧げるべきだ」と助言。サトシはその言葉を受け入れ、住職の助けを借りて、洋館で祈祷を行った。
祈祷が終わった後、サトシは再びその夜を洋館で迎えた。夜が更けると、今までのような不可解な音は一切聞こえず、サトシは安心して眠りについた。
夜明け、サトシは目を覚ますと、自分のベッドの脇に、若い女性と子どもの霊が立っていた。しかし、彼らの顔には怒りや恨みではなく、感謝の表情が浮かんでいた。サトシは彼らが手を振りながら、静かに光の中へと消えていくのを見た。
それ以降、洋館での奇妙な出来事はなくなり、サトシは平穏な生活を取り戻した。そして、彼はその家で新しい家族を築き、幸せに過ごすこととなった。しかし、地元の住民たちには、あの洋館には二つの魂が守り神として留まっているという噂が囁かれていた。