【怖い話】消えた影

短編の怖い話



美奈子は小さなアパートで一人暮らしをしていた。ある晩、彼女はリビングのソファでテレビを観ていると、窓のカーテンの間から外を覗く人影を感じた。一瞬、自分の目を疑ったが、確かにそこには誰かが立っているように見えた。

彼女は急いで窓を確認したが、誰もいなかった。ただの気のせいだと思い、テレビに目を戻した。しかし、気になる気持ちは拭いきれず、彼女は窓のロックを確認し、しっかりと施錠した。

翌日、美奈子はその出来事を友人の直子に話した。「もしかしたら、ただの映り込みだったのかもしれないよ」と直子は言った。美奈子もその可能性を考え、安心しようとした。

しかし、その夜、再び同じ場面が繰り返された。窓のカーテンの間から、明確な人影が外を覗いているのが見えた。美奈子はパニックになり、警察に通報した。しかし、警察が到着したとき、もちろん何も見当たらなかった。

数日後、美奈子はアパートの管理人にこの件を相談した。「実は、以前ここに住んでいた人がいて、その人が不慮の事故で亡くなったんです。その後、その部屋で奇妙な現象が起こるようになったという噂がある」と管理人は言った。

美奈子は驚き、そのアパートを出ようと考えたが、そう簡単には引っ越せなかった。その晩、彼女は再びソファでテレビを観ていると、今度はドアの方から微かな音がした。

彼女がドアの方を向くと、鍵がゆっくりと回される音が聞こえた。そして、ドアがゆっくりと開いてきた。美奈子は恐怖で動けなくなり、その場に固まってしまった。ドアが完全に開くと、何もいない。しかし、鍵が回されたはずの玄関の鍵は、以前の位置にはなかった。

翌日、美奈子は直子に助けを求めた。二人は美奈子の部屋に監視カメラを設置した。その晩、再び同じ現象が起こった。カメラの映像には、鍵が自ら動き、ドアが開く様子が映っていた。しかし、その背後には何も映っていなかった。

美奈子はアパートを急いで引っ越し、その出来事から数年が経った。しかし、あのアパートでの出来事は、彼女の心の中に深く刻まれ、忘れられることはなかった。



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