東京郊外の閑静な住宅街に、新婚の夫婦、優希と大輔は新居を購入した。2階建てのシンプルな家で、広い庭には木々が茂り、心地よい風が通る。初めてのマイホームに二人は大変満足していた。
ある日、優希が2階のクローゼットを整理していると、壁に小さな凹みを発見。好奇心からその部分を押してみると、壁がスムーズに動き、小さな扉が現れた。その扉の向こうには、これまで気づかなかった小さな部屋が広がっていた。部屋の中央には、ホコリにまみれた小さな机と椅子、そしてその上には黒ずんだ日記帳が一冊置かれていた。
優希は日記を手に取り、ページをめくった。日記の初めの方は、普通の家族の日常の記録が綴られていた。しかし、中盤からは異様な文章が続く。「私を見ている。毎日、毎日、窓の向こうから。」この一文が何ページにもわたって繰り返し書かれていた。
日記の最後のページには、大きな文字で「もう耐えられない」と書かれていた。
驚いた優希は、夜、大輔にその部屋と日記のことを話した。大輔は、家の前の住人が書いたものかもしれないと語り、二人でその部屋の扉を閉め、それ以上調べることはしないことにした。
しかし、その夜から、優希は毎晩、窓の外から何かが見ている感覚に襲われるようになった。窓のカーテンを開けても、何も見えない。しかし、その感覚は日に日に強くなっていった。
ある晩、優希が目を覚ますと、窓の外に暗い影が立っていた。恐怖に打ち震えながら、その影をじっと見つめると、影はゆっくりと窓を叩き始めた。
優希は慌てて大輔を起こし、警察に通報。しかし、警察が到着したとき、窓の外には何も見当たらなかった。
その後、優希と大輔はその家を離れることにした。引越しの日、優希が最後に部屋を確認していると、秘密の部屋の扉が開いていた。恐る恐る中を覗くと、日記帳の上に新しいページが追加されており、「もう逃げられない」と書かれていた。