​【怖い話】囁く骨壺

短編の怖い話



古びた家を相続した松岡真琴は、家の整理の際、地下室に骨壺を見つけた。それは、白い陶器に、細やかな模様が施されていた。その骨壺には、小さな札が取り付けられており、「悠」という名前が書かれていた。

真琴はこの家の前の住人についてほとんど知らなかったが、この「悠」という人物が、彼の家族の誰かである可能性があると考えた。しかし、その夜から、不思議なことが起こり始めた。

真琴がベッドに入った直後、微かに囁く声が聞こえてきた。「返して…、返して…」。真琴は身を起こし、部屋を見回したが、特に異変はなかった。

次の日、真琴は友人の亮にそのことを話した。亮は霊感が強く、彼のアドバイスを得ることができると思っていた。亮は真琴の家を訪れ、地下室で骨壺を見つけた瞬間、顔色を変えた。「この骨壺は、正しく供養されていない。返されたいと願っているのだろう」と彼は語った。

二人は近くの寺に相談し、供養をしてもらうことにした。しかし、その夜、真琴の家でさらに奇妙なことが起こった。真琴が部屋の電灯を消すと、部屋の隅から青白い光が放たれ、囁く声が再び聞こえた。「返して…、返して…」。

真琴は恐怖に駆られ、再び亮を呼び出した。二人は地下室に向かい、骨壺を手にとってよく観察した。すると、骨壺の底部に、小さな穴が開いていることに気づいた。亮はその穴に指を差し込むと、中から古びた手紙を取り出した。

手紙には「私をあの場所に返してください。私の場所はここではありません」と書かれていた。真琴と亮は手紙の意味を理解し、骨壺を持って山へと向かった。山の中腹には、小さな祠があり、その周りには何十もの骨壺が安置されていた。

二人は骨壺を祠の前に置き、手を合わせて祈った。すると、風が吹き、骨壺の中から青白い光が放たれ、次第に消えていった。

その夜、真琴の家は再び静寂を取り戻した。真琴はその出来事を通じて、死者を大切に思う心の大切さを知った。



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