石田は友人たちと、ある都市伝説の話題になった。それは「ゆらゆらさま」という伝説。伝えられるところによれば、そのゆらゆらさまは、かつての「こっくりさん」のような霊的な存在で、特定の儀式を行うと召喚できるという。しかし、一度ゆらゆらさまと接触すると、その恐怖は地獄のようだったと言われている。
冗談半分で、友人たちとゆらゆらさまの儀式を試してみることになった。用意したのは、古びた紙と赤いペン。紙の中心に大きな円を描き、その中に「ゆらゆらさま、ここにおいで」と書き入れた。そして、灯りを消して、手をつなぎ合わせて3回唱えることとなっていた。
儀式が始まった瞬間、部屋の中に冷たい風が吹き抜けた。そして、紙の上でペンがゆらゆらと動き出した。初めは緩やかな動きだったが、徐々に激しくなり、紙の外までペンが飛び出してしまった。
その後、部屋の中は静寂に包まれた。しかし、その静寂は突然、床の下から聞こえる「ゆらゆら」という音に破られた。まるで何かが床の下で動いているような…。
友人たちは恐怖に震えながら、部屋を飛び出した。廊下を走り抜けると、突如として前方から「ゆらゆら」という声が聞こえてきた。その声の主は、真っ赤な目をした不気味な女性の姿だった。
石田たちは、必死に逃げ続けたが、どこを逃げてもその女性は追いかけてきた。そして、ついに追い詰められたとき、その女性は笑みを浮かべながら言った。
「ゆらゆらさまと遊ぶ約束、忘れてないでしょう?」
その後、石田たちは見つからなくなった。彼らが行方不明になったその日、彼らの部屋の中心には、赤いペンで「ありがとう」と書かれた紙が残されていた。