彩は大学入学を機に一人暮らしを始めた。アパートは古めの木造で、賃料は安く、彩にとってはちょうど良い場所だった。しかし、引っ越してから夜のある特定の時間帯に金縛りにあうようになった。彩は初めはストレスか疲れのせいだと思っていたが、それが日常的に続き、彼女の精神的にも身体的にも影響が出始めた。
ある日、彩は隣の部屋に住む佐藤さんという中年の男性と話す機会があった。彩は勇気を振り絞り、佐藤さんに金縛りのことを話した。
佐藤さんは驚いた表情で言った。「実は、その部屋に前に住んでいた人も同じようなことを言っていたんだ。彼女も
毎晩、同じ時間に金縛りに遭遇していたらしい。」彩の顔が青ざめた。「でも、その後彼女は突然引っ越して行った。理由は知らないけど…」
彩はさらに調査を深めることを決意。アパートの大家さんに話を聞いてみると、その部屋に関する過去の出来事が明らかになった。実は数年前、その部屋で若い女性が不慮の死を遂げていたのだ。その女性は毎夜金縛りに遭い、助けを求める声を上げていたが、周囲の住民にはその声は届かなかった。その後、女性は心身ともに疲れ果て、命を絶ったという。
彩は怖さのあまり、部屋を変えてもらうことに。しかし、新しい部屋に移っても彼女の心の傷は癒えず、金縛りの恐怖からは逃れられなかった。その後、彩もまた心を閉ざし、病んでしまうことに。
そして、彩の部屋を引き取った新しい住民も、やがて同じような金縛りの恐怖に悩まされることとなった。そのアパートの部屋は、不吉な過去を背負ったまま、新たな犠牲者を待っているかのように静かに時を過ごしていた。