人気心霊系ユーチューバーの“幽界トラベラー”は、次のライブ配信の場所として、都市伝説で有名な廃墟ホテルを選んだ。視聴者からは「一番奥の部屋に気をつけて!」とのコメントが連発していた。その部屋には、人ならざる何かが住んでいるという噂が飛び交っていた。
夜、彼のライブ配信がスタート。廃墟のホテルは、薄暗く、あちこちから怪しい音が響いていた。視聴者数は増加し続け、彼は一番奥の部屋へと足を進めた。扉は鍵がかかっていて、彼は苦笑しながら「やっぱり開かないか」とコメントした。
しかし、その瞬間、扉の奥から「キィー」という音がして、ゆっくりと扉が開いた。彼は恐怖のあまり、足を止めることなく廃墟を飛び出し、闇夜の中を猛ダッシュで走り始めた。視聴者たちはその様子を呆然と眺めていた。
彼の背後からは重い呼吸音が聞こえてきた。何かが彼を追いかけている。そのまま、彼はライブ配信のカメラを落としてしまう。視聴者は固唾を飲んでその映像を見つめていた。
一瞬の静寂が続く。しかし、突如、カメラが動き始める。何かがそれを掴んでいるようだった。そして、ゆっくりと振り返るように回るカメラ。画面に映ったのは、皮膚が腐敗し、目が黒く爛れた男の顔だった。
その男はカメラに向かって、深くて異様な声で囁いた。「次は、お前たちの番だ…」
ライブはそのまま終了し、幽界トラベラーのその後の消息は、わからなくなった。