【怖い話】廃病院の裏拍手

短編の怖い話



都会から離れた、山奥の廃病院。伝えられるところによれば、かつてこの場所で数々の過酷な実験が行われていたという。今は誰も住んでいない、ただの廃墟だ。

高校生の晴と遥は、勇気を試すためにこの廃病院を訪れることにした。夜の廃病院は一層その不気味さを増しており、2人はドキドキしながら建物の中に足を踏み入れた。

廃病院内はホコリと冷気に満ちていた。壁には古びた手記や医療器具が放置されている。

「ここ、本当に大丈夫なの?」遥が不安げに晴に尋ねる。

「大丈夫、大丈夫。ちょっと怖いだけで、何もないよ」と晴は強がって答えた。

と、その時、2人の耳に、とても遠くからのような「拍手」の音が聞こえてきた。

「な、なんだこれ…?」遥が声を震わせながら言った。

晴も戸惑いながらも、その音の方へと進んで行った。音は、徐々に大きくなり、そしてはっきりとしてきた。それは普通の拍手ではなく、手のひらを上にして行われる「裏拍手」の音だった。

2人がその音源と思われる一室に到着すると、そこには何もない。ただ、中央に大きな手術台が1つだけが置かれていた。そして、その手術台の周りから、裏拍手の音が響いてくる。

2人は恐怖に震えながら、その場から逃げ出した。

後日、晴はその病院の背景を調査し、実験されていた患者たちの記録を発見。彼らは、痛みや苦しみを訴えながら、それを看取った医師たちに向けて「裏拍手」をしていたと記されていた。

遥と晴は、彼らの悲しみを知り、二度とその場所を訪れることはなかった。



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