【怖い話】不吉な鏡

短編の怖い話



陽子は地元のリサイクルショップで、古めかしい銅のフレームに囲まれたアンティークな姿見を見つけた。その手触りと色合いに惹かれ、思わず購入してしまった。部屋に飾った鏡は彼女のインテリアにぴったりと合っていた。

その夜、陽子は何故か寝付けなかった。うずくまった暗闇、心の中で響く静寂が彼女を不安にさせた。突然、部屋の片隅から月明かりに照らされた鏡の光が彼女の目を引いた。

鏡の中に、緑色の褪せた着物を着た老婆の姿が映っていた。驚きのあまり陽子は声も出せずに固まってしまった。その老婆は陽子をじっと見つめるように手を伸ばし、その背後に黒い服を着た男が突如として現れた。その男は冷酷な表情で包丁を手に取り、老婆に襲い掛かった。

鏡の中は血で真っ赤に染まり、恐怖で動けなくなった陽子の目の前で、その黒い服を着た男がゆっくりと鏡の外へと現れてきた。彼の血塗られた顔が陽子の方をゆっくりと向けると、「次はお前だ」と低く呟いた。

陽子は絶叫をあげたが、彼女の声は暗闇の中で消えていった…



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