大学生の真也と拓也は、夏休みの冒険心をくすぐるような場所を求めて旅をしていた。ある日、山奥の古びた道を車で進んでいると、真也が手にしていた地図には記されていない小さな村の入口のような場所を見つけた。
「ここ、行ってみる?」拓也が提案し、真也は興奮した目でうなずいた。車を進めると、その村はまるで時が止まったかのような静寂に包まれていた。古びた家々、草だらけの道、古い井戸などが点在していた。
村の住民らしき老人に話しかけてみると、彼は「若者たち、ここは早く出て行った方がいい」と冷たく言い放った。しかし、好奇心から村の中を探検していた真也と拓也はその忠告を無視した。
夜になると、その村は一変した。篝火が灯され、村の住民たちは踊りや歌を始めた。真也と拓也はその光景に魅了され、ついにはその踊りに参加してしまう。
踊りの最中、真也は気を失ってしまった。目を覚ますと、彼は一人で古びた家の中にいた。村の住民や拓也の姿はどこにも見当たらない。窓の外を見ると、篝火や村の住民たちの姿も消えており、ただの暗闇だけが広がっていた。
真也は慌てて家を出て、車の方へと向かった。しかし、何度走っても車の場所には辿り着けず、また同じ場所に戻ってしまう。彼は疲れ果てて倒れ込んだ。
朝を迎えた真也は、自分が夢を見ていたのだと思い込んで、あの村のことを忘れようと決意する。しかし、拓也の姿が見当たらない。彼は一体どこへ行ってしまったのか?
数日後、警察に拓也の行方不明届を出す真也。彼は警察にその村のことを話すが、警察はそんな村は存在しないと言う。真也は自ら再びその場所へと向かうが、その村はすでに消えていた。
真也は拓也の消息を追い続けるが、彼の姿は二度と見ることができなかった。そして、その村のことも人々は次第に忘れていった。ただ一人、真也だけがその消えた村と拓也のことを忘れることができない。