【怖い話】反対の部屋

短編の怖い話



真紀は、都会の雑踏から離れた小さなアパートで一人暮らしをしていた。このアパートは古く、壁が薄く隣の音が聞こえやすかった。しかし、真紀はそれをあまり気にしなかった。彼女が気になったのは、ある日から隣の部屋から聞こえてくる奇妙な音だった。それは「パチ、パチ」というような音だった。

初めは気にしていなかった真紀だったが、この音は毎晩繰り返され、次第に彼女の神経を逆撫でするようになった。そんなある日、真紀は部屋の壁に小さな穴を見つけた。彼女の好奇心が勝り、その穴から隣の部屋を覗くことにした。

覗き見た部屋は、まるで鏡に映ったような真紀の部屋と瓜二つだった。しかし、全ての家具や飾り物が裏表反対に配置されていた。真紀は驚き、息を飲んだ。そして、その部屋の中央に立っていたのは、裏表反対の服装をした真紀そっくりの女性だった。彼女は真紀の方に微笑みながら、裏拍手をしていた。

真紀は恐怖で身動きできず、その場に立ち尽くしていた。その時、反対の部屋の真紀は穴に気付き、真紀の目と目が合った。その瞬間、真紀の背後から冷たい手が彼女の肩を掴んだ。振り返ると、裏表反対の服装をしたアパートの管理人が立っていた。彼女は微笑みながら言った。

「あなたもこちらの世界へようこそ」

真紀はその場で気絶してしまった。目を覚ますと、彼女は自分の部屋でベッドに寝ていた。全ては夢だったのかと思った真紀だったが、突然部屋の扉が開き、裏表反対の服装をした真紀が入ってきた。そして彼女は微笑みながら言った。

「次はお前だ」

真紀は絶望と恐怖に打ち震えた。彼女の隣には、裏表反対の服装をした彼女の両親や友人たちが立っていた。彼らは全員、真紀に向かって裏拍手をし続けていた。



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