大学の友人たちと都市伝説を追いかけるのが趣味の竜司は、都内にあるという廃病院の噂を聞き、探検を計画した。それは以前大きな火災があった後、放置された病院で、中には患者の霊が彷徨っているという。
ある週末、竜司たちは病院へ向かった。病院は老朽化が進んでおり、天井からは雨水が滴り、廊下の突き当たりには焦げた形跡が見えた。
数時間の探検が終わり、特に怪奇現象に遭遇することもなく、彼らは帰宅した。
しかし、家に着いた竜司がスマホのギャラリーを確認すると、自分たちが病院内で撮影したはずのない写真が数枚あった。写真の中には、見知らぬ病室や手術室、そして何よりも、彼らが知らない間に撮られた、彼自身の背後にぼやけた人影が映っているものがあった。
竜司は恐怖に駆られ、すぐにその写真を削除しようとした。しかし、写真はいくら削除しても次の瞬間には再びギャラリーに現れた。
彼は慌てて友人たちに連絡を取り、写真のことを話した。しかし、友人たちは彼の話を信じず、彼が冗談を言っていると考えた。
その夜、竜司は悪夢にうなされた。夢の中で、彼はその病院の病室に閉じ込められ、背後から手を伸ばすぼやけた人影に追いかけられていた。
次の日、彼は再びその廃病院に向かった。写真の謎を解明するために。
病院に到着すると、前日とは異なり、病院内は異様な静寂に包まれていた。竜司は、写真に写っていた病室や手術室を探し始めた。
ついに彼は、写真に映っていた病室を見つけた。部屋の中央には、焦げたベッドが一つ。そして、そのベッドの上には、彼のスマホが置かれていた。
彼はスマホを手に取り、再びギャラリーを確認すると、新たな写真が一枚追加されていた。写真の中には、病室のドアと、そのドアをそっと閉める彼自身の姿が映っていた。