真紀は趣味で古書店を巡っていた。ある日、彼女の目に留まったのは古びた日記帳。特に目立つ装飾もなく、ありふれた日記帳に見えたが、何故か真紀はこの日記帳に強く引かれた。
家に帰って、日記帳のページをめくったところ、その中にはいくつかの日常の出来事や感情が綴られていた。だが、真紀がページを進めていくと、突然空白のページが現れた。それだけでなく、次のページには真紀自身の名前が記されていた。
「真紀がこの日記帳を手に取る。」
真紀は驚き、さらに読み進めてみると、彼女の今日までの行動や、古書店で日記帳を手に取る様子が詳細に記されていた。そして、その続きには明日以降の出来事も書かれていた。
明日の日付には、「真紀は深夜、自宅の廊下で何者かに追われる。」と書かれていた。冷汗をかきながら、さらに読み進めると、その後のページは真っ黒に染められ、真紀の名前だけが赤いインクで繰り返し書かれていた。
彼女は恐怖に駆られ、知人で霊感が強いと評判の女性、恵里子に連絡を取った。恵里子は、日記帳のことを聞き、真紀の家に駆けつけた。しかし、彼女は日記帳を見た途端、顔を青ざめさせた。
「これは… 命の記録よ。読んでしまったあなたは、この未来を変えることはできないわ」
恵里子の体調は急激に悪くなり、「あなた、逃げなさい」と言い残し、その場で倒れてしまった。
真紀は逃げることを決意し、夜、家を出ようとした瞬間、廊下の先に不気味な影が現れた。彼女は悲鳴を上げ、家を飛び出し、夜の街を走り続けた。だが、背後から迫る足音が絶えることはなかった。
真紀は街灯の下、日記帳のページをひとつ破り、風に舞わせた。その瞬間、追ってきた影が消え去った。彼女はホッと胸を撫で下ろしたが、翌日、真紀の姿を見た者はいなかった。