かつて、あるマンションが建っていました。そのマンションには、13段の階段があったのです。
この話は、新しい住人、佐藤さんがそのマンションに引っ越してくるところから始まります。彼は一人暮らしに適した小さな部屋を見つけ、新しい生活を始めたのですが…
初めての夜、何かがおかしいと感じた佐藤さん。部屋の窓から見えるはずの街の明かりが、何故か遠く感じられたのです。そして、彼はやがて、マンションの裏手にある謎の階段を発見します。13段のその階段は、どこにも続いていないようでした。夜になると、そこから不気味な風が吹き抜けるのを感じるのです。
管理人から聞いた階段の秘密によれば、昔その地には刑場があったと言います。死刑囚が最後の階段を上った…そんな場所だったと。
ある夜、好奇心に駆られた佐藤さんは、その階段を上ることにしました。一段一段上るごとに、空気が冷たく、重苦しくなっていきます。そして、13段目に足を踏み入れた瞬間、彼は異変を感じました。何かに引きずり込まれるような感覚。身動きが取れなくなりました。
何とか逃げ出した佐藤さんですが、その後も夜ごとに階段から聞こえてくる足音に悩まされ続けました。その足音は、いつも13段を上りきって、彼の部屋のドアの前で止まるのです。
そして、翌日の衝撃的な事実。管理人によれば、このマンションが建つ前に最後に処刑された死刑囚は、佐藤さんと同じ姓だったというのです。
佐藤さんはそのマンションを離れました。しかし、新しい住まいに移っても、夜ごとに13段の階段を上る足音が彼を追い続けるという噂が…
この物語は、過去と現在、そして見えない何かが交差する不可解な出来事を描いています。暗く静かな夜、階段を上るとき、ふとこの話を思い出すかもしれません。そして、あなたの背後に何かを感じるかもしれません…