これは父が小学生の時に体験した話です。
父が小学生の時クラスメイトにお金持ち(町の御大尽)のお嬢さんがいた。
父は当時(1960年代)貧しく弁当は大抵、ご飯に卵焼きに梅干し。
なのに彼女(Aさん)の弁当はハンバーグにエビフライ。
父はその子が恵まれていて、とても羨ましかったそうだ。
ある日父は何かのきっかけで友人数人とその子の家に行く機会があった。
その子の家に着くなり驚いた。
大きな門に、大きな蔵、広い庭に立派な離れ付きの平屋。
それはまるで武家屋敷だった。
門の所で圧倒されて呆然としていると掃き掃除中の女中さんが、「あ、お嬢様のお友達ですね。どうぞ。」と案内してくれた。
案内された和室に入るなり父は何だか背筋がゾワッとした。
「何だろうなぁ」とあたりを見渡すと二対の茶器が目に入った。
それは夕焼けのような色の赤っぽい茶器だった。
それに目を奪われていると「それはね、父が京都で買ってきた物なの、とても珍しい色なんですって。」A子が説明してくれた。
父は「へぇ」と思ったが何だか血の色に見えて気味が悪かった。
そんなことがあってしばらく学校生活を送った時、A子が学校にこなくなった。
「どうしたんだろう」と思っていた矢先、夕飯時に父の両親が会話しているのを聞いた。
「~さんち(Aさん家)の旦那と奥さん、気が狂ったようだよ。
何でも落ち武者と女の生首が殺しにくるとずっと言って憔悴しきってるんですって。」父は心配になったが、彼女が羨ましいと思っていたから心のどこかで「ざまぁみろ」と思った。
そして彼女は違う親戚に引き取られて家は他人に取られた。
それで、その人もおかしくなって部屋に火を放って自殺。
立派な平屋は消失した。
父は「きっとあの茶器には色々な怨念が染みついていたにちがいない」と言った。
ちなみに蔵は焼けなかったので現在は町の有形文化財として保存され、資料館として一般人に無料開放されている。
父は小学校の同窓会の際に友人と一度試しに立ち寄ってみたがその茶器は見あたらなかったそうだ。もしかすると火事で燃えてしまったのかもしれない、しかしもし、皆さんの近くで夕焼け色の茶器がどこかで売られていたらそれ、もしかすると呪われているかもしれません。
夫婦茶碗を読んだ感想
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