【怖い話】お狐様を連れて…

短編の怖い話



先日じーちゃんの葬式が終わって、ひと段落ついたのでつらつらと書き綴っていく。
うちのオヤジの生まれ故郷はとある田舎で、じーちゃんばーちゃんも当時は健在だった。
でもなぜか俺は一度もオヤジの田舎には行ったことがなく、毎年お盆や正月はおふくろの実家にばかり行っていたんだ。
電話やお歳暮なんかのやり取りは普通にあるのに、なんでだ?とオヤジに聞いたことがあったんだが、「実家にいる弟と仲が悪いから」とだけ言われた。
そんなある日、オヤジの弟が亡くなったって電話がきたんだよね。
たまたまオヤジがその電話を受けたんだけど…。
オヤジの弟って祖父母と同居してたんだよね。
で、当然俺やおふくろも一緒に葬儀に行くんだと思ってたら
「俺一人でいい」
って、オヤジが言い出して。
おふくろが何かいいたそうだったんだけど、結局その日オヤジが一人で田舎に行った。
でいろいろな手続きで1週間くらいあっちにいたんだが、帰ってきてからおかしかったんだよね。
ちゃんと風呂入ってるのに獣臭い臭いしたり、夜中にオヤジがうなされてたり……。
たまに別人みたいにキッツイ顔つきになることもあってさ、一ヵ月後くらいには何かあるとすぐ怒るようになってどうしたんだろうって母さんと2人で悩んでたんだよね……。
で、もしかしたら脳腫瘍でもできておかしくなってきたんじゃ、って病院に連れて行こうか話してたときに、オヤジ方のじーちゃんから電話かかってきてさ。
オヤジがいなかったからおふくろが対応してたんだけど、途中からなんか顔面蒼白になっちゃって、電話が終わってからどうしたんだって聞いたら
「オヤジをじーちゃんのとこに連れて行かなきゃならない」
って言いだして。
俺にしてみれば何が何だかわからない状態で、きちんと説明してほしかったんだけど「時間がない」の一点張り。
仕事から帰ってきたオヤジにおふくろがうまいこと言って、週末にオヤジとお袋、俺も一緒にじーちゃんちに行くことになった。

で、俺オヤジ方のじーちゃんちって行ったことなかったから、田舎の古臭いしょぼい家だと思ってたんだけど、行ってビックリ。
どうもその辺一体の地主だったらしくて、物すごい土地広いし、家が屋敷みたいにでかくてさ。
庭に大きな池があったんだけど、その中央あたりにポツンと小さい島があったんだよね。
橋があっていくことはできたんだけど、何にもないの。
じーちゃんばーちゃんは、俺とおふくろに会えたの凄い喜んでたんだけど、オヤジのこと凄い気づかってておかしい雰囲気だった。
んでじーちゃんちに俺たちが付いたときに、オヤジ方の親戚のおっさんが数人いたんだけど、その人達の姿みたとたんにオヤジの機嫌悪くなって帰るとか言い出したんだけど…。
おっさん連中がオヤジの腕掴んで、奥の部屋に連れて行ったんだよ。
そして30分もしないうちに、神社の神主さんがじーちゃんちにきて、神主さんと一緒に俺らも置くの部屋に行ったんだけど…。
オヤジ、縄でぐるぐる巻きにされてたうえに、さるぐつわ付けられて、その前に小さな神棚みたいのがあって、神主さんはオヤジと神棚の間に立ってた。
俺らは部屋の入口に座ったんだけど、何があっても動くな、話すな、とだけ言われたんだ。
親戚のおっさん連中やじーちゃんばーちゃんは、オヤジの周りでただただ手を合わせてた。
神主さんが祝詞みたいなの唱え始めたら、オヤジの目つきが凄い変わっちゃってさ。
まるでオニか怨霊でもついてるかのように恨めしそうな顔して、縄をほどこうとしてあがいてたけど、神主さんは淡々と作業を進めていく。
5分くらい経った頃かな?
オヤジの体が白いもやみたいなものに包まれてるように見えて、靄の色が段々色が濃くなって白い狐みたいな姿になってた。
後で聞いたらおふくろや親戚のおっさん連中には見えていなかったらしい。
神主さんはそいつに向かって、どこから持ってきたのか、小さな木箱に入るように、みたいなこと言ってたんだけどそいつ……木箱じゃなくじーちゃんに飛び移って、そのまま消えたんだよ。
「しまった!」
って神主さん焦ってたんだけど、じーちゃんが「このままでいい」って…。
オヤジは気絶してたんだけど、翌朝には目が覚めていつものオヤジに戻ってた。
で、結局なんだったのか気になるよな。
ダメ元でじーちゃんに聞いてみたら、意外とすんなり話してくれた。

その昔、家の池の中央にお狐様祀っていた小さい祠があったんだって。
じーちゃんが子どものころ、家に一人でいるとその祠のところに同い年の女の子がいたらしく、よく遊んでたらしい。
んで子どもながらに女の子がじーちゃんのお嫁さんになる!っていったらしいんだよね。
後でそのことじーちゃんが親戚の人や親に話ししたら、血相変えて「女の子とは遊ぶな」っていわれたらしい。
人間だと思ってたその女の子、実はお狐様だったってオチで、一人息子だったじーちゃんの命がヤバイって大人は思ったらしい。
その後しばらく女の子の姿みたらしいんだけど、家の中には入れないらしくて、無視してたらそのうちにいなくなったそうなんだけど……。
じーちゃんの結婚が決まったときから、家に不幸が立て続けに起きて、神主さんに相談したらお狐様がじーちゃんの嫁になれなくてお怒りに触れたと……。
このとき無理やり祠に封じちゃったらしく、その後は何事もなく過ごしていたんだけど、叔父が霊とか信じない人だったらしくなくなる前日に祠壊しちゃったらしいんだよね…。
その成果は分からないけど、叔父が亡くなり、葬式に出たオヤジがおかしくなって帰ってきたと……。
おまけにじーちゃん、祠が壊された日の夜から、夢にお狐様でてたらしくて、オヤジが次に殺されるんじゃと思ったらしい。

神主さんにはお狐様をじーちゃんから離したほうがいい、ていわれたんだけど、じーちゃんは生い先短いからこのまま一緒に連れて行くってね……。
結局じーちゃん、3日もしないうちになくなっちまったよ。
葬式で坊さんがお経をあげてるときに、ふと棺の方をみたら棺桶の上に白い狐がいてさ、なんだかうれしそうな顔してすぐ消えちまった。
お狐様がじーちゃん連れていっちまったんだろうなぁ……。



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