【怖い話】借家

短編の怖い話



借家

これは昔、と言っても数年前の話です。自分は家族と借家に住んでしました。その家は2階建で、玄関は引き戸、ベランダが2階にあるという、まぁまぁ普通の家でした。ですが普通の家とは似つかわしくない、不可思議な出来事がよく起こったんです。

まず最初に異変に気付いたのは母親でした。母は「台所で野菜を切っている時に、何かが背後を通った」と言いました。家族は笑いながら、どうせ俺らがトイレに行っただけだって、と茶化しましたがそれを感じたのは自分たちが学校に行っている間だったと言います。それでも私たちは「気のせいでしょ」と笑ってからかいました。今思えばこの時に真剣に考えていたらあんな目には合わなかったと思います。

それからというもの母だけでなく兄弟までもが異変を感じるようになりました。「窓に何かがいた」「テレビを見ている時に誰かに見られていた」と言い出すようになったんです。でも自分だけはまだそのような体験をせずに、みんなはただ自分をからかっているだけだとしか思っていませんでした。

ある日、自分は夏休みのポスターが間に合わず、先生に説教され「明日までに仕上げてこい、じゃないと居残りだ!!」と言われ、仕方なく徹夜で色ぬりをしていました。他の家族はいつも通り二階で寝ていて、自分だけは一回の台所にいました。

そしてしばらくたち、やっとポスターの色ぬりが終わり自分は感動に浸っていました。「やればできるじゃん」と言いながら時計を見ると深夜の2時30分を過ぎていました。明日ももちろん学校があるので、早く寝ないと寝坊してしまうかもしれません。私は急いでベッドに向かうことにしました。大急ぎで片付けを済ませて、ポスターを新聞紙に重ねて急いで階段に向かいました。その時です。

ガタン・・・

突然どこからか音がなりました。パッと後ろを見ると玄関の戸が少し空いていたんです。家族の誰かが閉め忘れたのかなと思い戸を閉めました。そして再び階段を上がろうとした時です。

キィーー

すぐに振り向くとまた玄関の戸が少し空いています。さっき閉めたはずの玄関の扉がまた空いていたんです。次は絶対に開かないように鍵をかけてから階段を登ろうとしました。「最初からかければよかったなぁ・・」と思っていた時、ガタンッっと音がなったんです。今度の音は最初に聞いた音そのものでした。

自分は音のする方へゆっくりと歩いて行きました。歩いていくとそこは洗面台の隣にあるお風呂場からでした。この音を聞いてお風呂場にたどり着いた時家族の言葉を思い出しました。俺がケリをつけたやると言わんばかりに意気込んで、お風呂場のドアを勢いよく開けました。ですが中には誰もおらず真っ暗なただのお風呂場でした。やっぱり何もないのかとがっかりしてドアを閉めようとした時、自分の頭は真っ白になってしまったんです。

カタカタカタカタカタカタ・・・・

なんとお風呂場にある洗面器が円を描くように動いていたんです。その音は階段を登ろうとした時に聞いた音そのものでした。自分はドアを急いで閉めて死に物狂いで逃げました。「ダメだこれはやばいやつだ!!」自分はそう思いながら洗面台の前を通り抜けようとした時、何か違和感を感じました。かしかめるどころではない自分は、全力で走りできるだけ早く階段を駆け上がりました。

突然階段の真ん中で右足が滑ってしまい、やや体勢が崩れてしまいました。単純に階段を踏み外したのとは何か違います。何者かに右足を掴まれたような・・・

「いたっ・・・何が起きたんだ?」

滑った理由を探して下を見ると、神の濡れた女の人が自分の足を掴んでいました。しかも神の分け目からこちらを睨んでいます。私は一瞬で気を失っていましました。気がつくと家族が周りにいて自分を起こしていました。

「なんでこんなところに似てるの?もう朝の8時で学校に間に合わないよ」

母の声で目を覚まし少しして昨日のことを思い出しました。みんなえ朝食を食べながら、昨日のことをできるだけわかりやすく伝えました。ですがみんなはそれを信じてくれません。がっかりしつつ牛乳を取るために冷蔵庫へに足を運んだ時、悲鳴が聞こえました。

「キャァーーーー」

叫んだのは妹でした。いきなり妹が叫び椅子から転げ落ちたんです。みんなが驚く中妹は私の足を指差していました。その場にいた家族全員が私の足に注目した時、顔が青ざめていったのを覚えています。私は恐る恐る自分の足を見た時、血の気が引いていったのを覚えています。

自分の右足首にはなんと手形のような痣があったからです。あの女の人はこの家の前の持ち主だったのでしょうか?調べてみてもそのようなことは一切書かれていません。

今ではその家から引っ越して新しい絵に住んでいます。この話の本当に恐ろしいところは作り話なんではなく、全くの真実だということです。風の噂ですがあの家にはまた新しい人が住んでいるようです、あの恐ろしい家には何者かがいて今も住み着いています。世の中にはこのような怖い家もあり、そして人知れず立っています。

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