【怖い話】修学旅行の宿泊先に現れたのは……?

短編の怖い話



中学校の修学旅行で体験したことなんですが、もしかしたら似たような体験をした人がいるのではないでしょうか。

同級生に恵まれて、中学時代はとても楽しく過ごすことができ修学旅行も仲のよい、由利と智香の3人のグループになり、修学旅行中のスケジュールづくりなど楽しい思い出になりました。

修学旅行当日は朝早くからの出発だったのですが、楽しみにしていただけあって移動中のバスの中ではお喋りが止まらず、目的地についてからも今まで行ったことのない場所だったので、物珍しさもあって写真を撮ったりあちこち見学していてテンションが高かったのを覚えています。

初日の自由行動が終わり、宿泊先のホテルへと向かったのですが……。
とても小さなホテルなうえに入口の看板には「休憩」など一般のホテルにはないような表記があったんですよね……。
由利が「ラブホみたい」なんっていってて、まさかなと思ったんですが、部屋に入ってびっくり。どう考えても1~2人用と思われるとても狭い部屋に、ぎゅうぎゅうにベッドを入れて3人寝れるようにしてあるんですが、床は荷物を置くだけでいっぱいいっぱいな状況……。
怪しい装飾なんてものはなかったんですが、ビジネスホテルにしてもこれはないだろうと中学生でも思ってしまうほどお粗末なものでした。

食事は地下室の食堂でと聞いていたので行ってみれば、電気はちゃんとついてるんですが薄暗くてなんだか気味が悪いし、バイキングだったのですが見た目も悪く食べる気が失せました。
智香と由利と話し合って、自由行動のときにお昼用に購入して余ったパンがあったので、レストランで食べずに部屋でパンを食べようってことになったんですよね。
レストランを出てエレベーターまで来たとき、智香がおかしなことを言ったんです。
「さっきのレストランのすみっこで立ってた気味の悪い女の人なんだろうね?」
私はそんな人気づきもしなかったのですが……。
「そんな人いた?」
と由利も女性を見ていなくて、普通なら気のせいで終わらせるのかもしれませんが、智香が霊感強くて普段からそういうもの見ている子なので気味が悪くて仕方ありませんでした。

エレベーターに乗って自分たちの部屋のある7階に着き、エレベーターを降りた途端に妙な寒気がしました。
廊下がとても薄暗く、一番奥に黒い人影のようなものを見たような気がしたのですが、何だか言い出せず、部屋に戻って3人で食事をすませお風呂に入ったんですが……。
最初に入った由利がお風呂をチェックしてたときに、排水が微妙だからとチェックしてみたら長い髪の毛が詰まってたんですよね……。
先生に連絡してってホテルの人に掃除してもらったんですが、智香が何かを見た後っていうのもあってか、普段なら怖い話を聞いても明るい由利がさすがに気味悪がっていました。

由利、智香、そして私の順にお風呂を済ませたんですが、私が入って洗顔しているときに妙な視線を感じて何度か思わず後ろを振り返ったんですが、何もいるわけもなく。
シャンプーしているときも、妙な気配を感じたのですがもしも見ちゃったらと、気にしないでさっさとお風呂をすませて、3人でテレビ見ながら翌日の予定について話したりしてたんです。
ただベッドの上以外動きようがなく、3人とも座った状態で話していたのに、いきなり部屋の電話に「うるさい。静かにしろ」と男性からクレームの電話が……。
電話に出た智香がすみません、と謝ってすんだのですがベッドの上で動き回ったりしていないし、テレビの音も会話も隣接している部屋のこと気づかってかなり小さくしていたのに?と、3人で首を傾げたのですが、部屋間違えたんだろうってことになったんです。

23時に就寝し、疲れがたまっていたのですぐに眠ったのですが、何だか胸が苦しくてふと夜中に目が覚めたんです。智香と由利はぐっすり眠っていました。
時計を見たらまだ午前2時だったのでもうひと眠りしようと目を閉じたんですが、何かおかしいんですよ。
2人は眠っているしそもそもベッドが部屋いっぱいに広がっていて歩くスペースなんてないのに、誰かが歩いているような気配がするんです。
嫌だなぁと思っていたら、智香が見たって言ってた女の人のこと思い出しちゃって。
怖くて眠れず、かといって人の気配が怖くて目も開けられず起きようか迷っていたとき……。
「フフッ……」
って、由利でも智香でもない低い女の人の声が耳元で聞こえて、びっくりして飛び起きるように上半身を起こし目を開けたんです。
そしたら……私の体に馬乗りになった、女の人と目が合ったんです。
ネグリジェみたいなものを着ていたんですがぼろぼろで、顔はケロイドのように焼けただれているような感じで。
髪の毛もまばらな状態、でも目は物凄いギラギラしていてじっと私を見つめていたんです。
驚いて声もでず、固まっている私に、その人は焼けただれた手でつかみかかってきたところで、気絶してしまいました。

翌朝、由利に起こされたんですが、私の首に手で絞められたような跡が薄くついていました……。
手の跡を指摘されたのは、ホテルを出発してから。
由利がものすごく神妙な顔をして私に言ってきて、慌てて手鏡で見たら確かにうっすらとついているのがわかりました。
そしてホテルからかなり離れたところで、智香が変な夢を見たと。
夢の内容は私たちが宿泊していた部屋で、女性が男性に殺される夢だったと。
私や由利が怖がるからかそれ以上は聞いても話してくれませんでしたが……。
あの女性は何を訴えたかったのでしょうか?
そして私の首を絞めたのは彼女だったのでしょうか?

帰宅してからあのホテルのことを調べても、事件として公表されていないのか、智香の言っているような事件を見つけることはできませんでした。
あれ以来女性の霊は見ていませんが、たまに背後に人の気配を感じることがあってゾクッとすることがあります。



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